usecaseユースケース
DeepProtect の活⽤先として考えられるユースケースをご紹介します。
case 01金融
⾦融機関における不正取引の検知
マネー・ローンダリング、不正送金、振り込め詐欺などの金融犯罪の手口は複雑化・巧妙化しており、早急な対策が求められています。
DeepProtect を活用して複数の銀行にまたがるデータの解析を行うことで、従来単独の銀行では難しかったこれらの犯罪の検知が可能になります。
不正送⾦検知の実証実験
NICTは、国立大学法人神戸大学等との共同研究により、千葉銀行・三菱UFJ銀行・中国銀行・三井住友信託銀行及び伊予銀行と連携して、不正送金検知の実証実験を実施し、目標としていた不正送金の検知精度80%以上を達成するとともに、一銀行では検知できなかった不正送金の被害に遭った取引(被害取引)の検知や、不正送金に悪用された口座(不正口座)の早期検知を確認しました。この実証実験は、2019年度からJST CREST「イノベーション創発に資する人工知能基盤技術の創出と統合化」の加速フェーズ研究課題として採択された研究課題「プライバシー保護データ解析技術の社会実装」(課題番号JPMJCR19F6)の下で実施されてきましたが、2022年度から開始されるJST AIP加速課題 研究課題「秘匿計算による安全な組織間データ連携技術の社会実装」として採択され、今後は、銀行における不正送金検知業務および金融犯罪対策業務への実運用に向け、さらなる検知性能の向上やシステム実装に取り組みます。
case 02医療・ライフサイエンス
ヘルスケアデータのセキュアな統合分析
ウェアラブルデバイスの普及によるバイタルデータの観測や電子カルテシステム基盤などの環境整備が進み、医療やヘルスケア分野においても日々大量のデータを収集することが可能となっています。一方でこのような非常に高い機密性が求められるデータの統合分析は、プライバシー保護の観点から様々な課題があります。
DeepProtectを活用することで、このようなデータのセキュアな統合分析が可能になり、例えば類似症例の効率的で高精度な検索、患者のその後の経過やICU滞在時間などの予測、検査画像の分析、あるいは傷病リスク等の分析や予防診断の実現につながる可能性があります。
創薬プロセスの最適化
ライフサイエンスの分野においては、化合物データなどの非常に価値の高い情報を社外に公開することなく、複数の企業が共同して精度の高い化合物結合などの予測モデルを構築することで、創薬プロセスの最適化の実現が期待できます。
case 03製造
設備の故障予知保全
製造機械などの設備の故障予兆をIoT技術によって捉え、故障を予知する予知保全の分野においても、AIの活用が始まっています。しかし、こうした故障の実績データの量は単独の企業内では限られるため、学習に十分な量のデータを集められず、予測モデルの精度が上がらないという課題も見られます。こうした設備の稼働状況やスペックなどの情報からは、その企業の生産能力やノウハウなどが推測できてしまう可能性もあり、外部への開示が難しい場合があります。
DeepProtectを活用することで、これらのデータを秘匿しながら、複数企業で精度の高い予知保全の学習モデルの構築ができる可能性が広がります。
品質管理や異常検知
その他、受入部品の品質管理や製品の不良品などの異常検知を行う場合にもDeepProtectの活用によって、予測精度の向上が期待できます。
case 04マーケティング
商品・サービスの需要予測
商品・サービスの需要予測には、天候やカレンダー情報、トレンドやマーケット全体の供給量、プロモーションの状況などさまざまな要因が複雑に影響を及ぼします。
DeepProtectを使うことで、単独の企業内のデータにとどまらず、グループ企業や販売パートナー企業、あるいは業界内を横断した豊富なデータを対象にセキュアに解析を実施し、より高い精度の需要予測モデルが構築できれば、欠品防止や在庫削減などさまざまな効果が期待できます。
ターゲティングとパーソナライゼーション
マーケティングプロモーションの分野においても、SNSやアプリなどの新たなチャネルも含めますます顧客接点が多様化し、結果として顧客データが増加、複雑化しています。AIを使って顧客の属性や行動履歴、購買履歴などを分析し、見込み顧客の特定とともに、適切なタイミングでパーソナライズされたプロモーションを実施したいという場合にも、DeepProtectを活用することで、お互いに重要な顧客データを開示することなしに、顧客のプライバシーを守りながら販売パートナーなどと共同で精度の高い学習モデルの構築が可能になります。
case 05サービス
電力やガスなどのエネルギー消費パターン分析
電力やガスなどの公益サービスのプロバイダにおいては、スマートメーターなどのIoTデバイスから得られるデータからエネルギー消費パターンを分析し、供給量を最適化するなどのデータの利活用が進んでいますが、計測データから個人の生活パターンなどが類推できてしまうため、生データを中央サーバに直接収集したり、発電事業者、送電事業者、小売事業者などをまたがって共有することはプライバシー保護の観点から情報漏えいのリスクが懸念されます。DeepProtectでは外部に生データを開示することなしに、共同のデータ解析を可能にします。
機密性の高いデータを扱うサービス全般に
その他、自動翻訳やスパムメールの検出、カスタマーサービスのチャットボット、バーチャルアシスタントサービス、自律走行を制御する車両運転システムなど、高い機密性が求められるデータの分析を行う民間サービスについても広くDeepProtectの活用が期待できます。
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