RESEARCH 研究概要
CTやMRIなどの医療画像は診断に不可欠である一方、その読影には高度な専門性と多くの時間を要します。
こうした課題の解決に向け、AI(人工知能)を活用した画像診断支援技術への期待が高まっています。
一方で、医療現場で実際に活用できる高精度なAIを実現するためには、多様な患者属性や症例を網羅した大規模な医療データを用いた学習が不可欠です。
しかし、医療データは要配慮個人情報を含む極めて機微性の高い情報であり、複数の医療機関がデータを共有・統合して活用することには、個人情報保護やセキュリティの観点から大きな制約があります。
このことが、医療AIの実用化を進める上での大きな障壁となってきました。
こうした課題を克服するために、本研究では高機能暗号技術と連合学習を融合したプライバシー保護連合学習技術「DeepProtect」を医療分野に応用します。
DeepProtectは、各医療機関が保有するデータそのものを外部に提供することなく、学習過程で得られる情報を暗号化したまま統合・解析することを可能にします。
これにより、患者のプライバシーを守りつつ、複数機関の知見を活かした高精度なAIモデルの構築が実現します。
本研究では情報通信研究機構(NICT)および立命館大学がDeepProtectの医療応用や機能強化の研究を実施するとともに、放射線画像診断において豊富な症例と知見を有する信州大学、滋賀医科大学、金沢大学、及び三重大学はDeepProtectの提供を受け、
放射線画像診断支援AIのプロトタイプを開発し、2029年まで臨床研究を行う計画です。各医療機関は、自院のデータを外部に提供することなく研究に参加できるため、患者のプライバシーを確保しながら、多様な症例に基づくAI学習が可能となります。
将来的には、診断精度の向上や医師の負担軽減を通じて、医療の質の向上に貢献するとともに、医療分野に限らず、機密性の高いデータを扱うさまざまな分野への応用展開も期待されます。
なお、本研究は、JST経済安全保障重要技術育成プログラム「セキュアなデータ流通を支える暗号関連技術(高機能暗号)」に採択され、研究課題「高機能暗号を活用した連合学習技術の高度化と医療データへの応用」【JPMJKP24U1】として支援を受けたものです。









